2021 年 110 巻 4 号 p. 769-773
糖尿病は,大腸癌,肝臓癌,膵臓癌,乳癌,子宮内膜癌,膀胱癌のリスク上昇,前立腺癌のリスク低下と関連する.高インスリン血症による腫瘍の増殖促進,肥満に伴う活性型エストロゲンの増加,慢性炎症の影響等が想定されている.市町村によるがん検診に加え,肝炎ウイルス陽性の場合,肝細胞癌のスクリーニングが推奨される.手術や化学療法等治療による血糖値への影響が大きく,ADL(activities of daily living)の変化に応じて糖尿病の治療目標を設定する.