2021 年 110 巻 4 号 p. 817-823
現在,医療用漢方製剤は,内科医に限らず,多くの臨床医から処方されている.近年では,漢方薬の臨床試験もなされるようになり,機能性ディスペプシアに対する六君子湯,認知症の行動・心理症状に対する抑肝散の有用性等のエビデンスが蓄積されつつある.一方,漢方薬の副作用として,従来から知られていた偽アルドステロン症等に加えて,間質性肺炎,肝機能障害,腸間膜静脈硬化症等があることも認識されてきている.本稿では,エビデンスや副作用等に関する最新情報を交えて,内科診療における漢方の役割について概説する.