2021 年 110 巻 5 号 p. 912-921
急性腎障害(acute kidney injury:AKI)は,主に敗血症あるいは多(他)臓器障害・病態の一部として併発することが多い.一方で,AKI自体も多(他)臓器に炎症性サイトカインや血行動態の変化等を介して機能障害を誘発することが知られている.もはやAKIは単一臓器の疾患概念ではなく,多(他)臓器を含めた双方向的な悪循環を形成する中心臓器として多数の基礎研究及び臨床上も認知されつつあり,これをAKIと多(他)臓器との間のcross-talk pathwayと呼ぶ.本稿では,腎臓と肺・心臓・肝臓のcross-talkを,臨床上重要なポイントを提示し解説していく.