日本内科学会雑誌
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医学と医療の最前線
アミロイドーシス治療の進歩
関島 良樹
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2021 年 110 巻 6 号 p. 1170-1177

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抄録

アミロイドーシスは,以前は有効な治療が全く存在せず,生命予後不良な難病であったが,近年,病態に基づいた疾患修飾療法が次々と開発されている.遺伝性ATTRアミロイドーシスに対しては,TTR(transthyretin)四量体安定化薬であるタファミジスが開発され,本症患者の末梢神経障害及び心筋症の進行を有意に抑制することが示された.さらに,TTR mRNA(messenger ribonucleic acid)を標的としたsiRNA(small interfering RNA)製剤であるパチシランの本症に対する有効性も証明され,世界初のsiRNA治療薬として認可された.野生型ATTRアミロイドーシスは,高齢者の心不全や手根管症候群の主要な原因であることが明らかとなり,近年注目されている疾患である.本症に対してもタファミジスの有効性が証明され,初の本症治療薬として認可された.また,複数の核酸医薬の第III相試験も進行している.ALアミロイドーシスに対しては,自己末梢血幹細胞移植併用大量メルファラン療法や骨髄の異常形質細胞を標的とした新規の化学療法により,近年予後が劇的に改善している.

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