日本内科学会雑誌
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医学と医療の最前線
大規模カルテデータを用いたCKD研究
柏原 直樹
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2022 年 111 巻 1 号 p. 117-128

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抄録

慢性腎臓病(chronic kidney disease:CKD)は腎不全の原因であるだけでなく,脳卒中や心血管病発症とも関係している.その診療実態の解析を目的として,日本腎臓学会は日本医療情報学会と共同し,全国規模の包括的CKD臨床効果情報データベース(Japan Chronic Kidney Disease Database:J-CKD-DB)を構築した.リアルワールドデータ(real world data:RWD)を活用してCKDの実態調査,予後規定因子の解析,標準治療の均霑化率の評価,有効な予防・重症化抑制策の立案,腎臓病診療の質向上に寄与することが目的である.SS-MIX(Standardized Structured Medical Information eXchange)2を用い,電子カルテ情報(electronic health record:EHR)からCKD該当例のデータを自動抽出しデータベース化するものである.全国15大学病院の参画を得て,14万8,000人のCKD症例を登録した.診療ガイドラインはエビデンスに基づくことが求められている.最も質の高いエビデンスはランダム化2重盲検試験(randomized controlled trial:RCT)及びそのメタ解析とされる.RCT実施は容易ではなく,臨床現場から提出される多くのclinical questionに答えることは困難である.RWDを活用することでエビデンス度の高い知見を創出することが可能である.

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© 2022 一般社団法人 日本内科学会
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