日本内科学会雑誌
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111 巻, 1 号
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内科学会NEWS
目次
特集 肝硬変症の診断治療の最新知見
Editorial
トピックス
MCQ
今月の症例
  • 戸﨑 凪映, 岡田 英之, 宇野 嘉弘, 池田 貴英, 加藤 あや香, 加畑 理咲子, 奥田 裕子, 原田 浩二, 小泉 昭夫, 森田 浩之
    2022 年 111 巻 1 号 p. 89-95
    発行日: 2022/01/10
    公開日: 2023/01/10
    ジャーナル フリー

    25歳,女性.生下時より四肢のいずれか一肢の疼痛発作を繰り返している.父,父の弟とその長男,父方祖父とその妹にも同様の発作があり,特徴的な症状と常染色体優性遺伝形式から小児四肢疼痛発作症と診断した.本人と父の責任遺伝子SCN11Aにp.R222Hの変異が認められた.患児は育てにくい子どもとして虐待されやすいことが予想されるが,思春期以降は発作の頻度が減少し,この疾患の認知度が低いこともあって多くの成人患者が未診断のままになっている可能性がある.

  • 内原 正樹, 須藤 一起, 奥屋 俊宏, 小島 勇貴, 下井 辰徳, 伊藤 千尋, 棟方 理, 伊豆津 宏二, 前島 亜希子, 米盛 勧
    2022 年 111 巻 1 号 p. 96-103
    発行日: 2022/01/10
    公開日: 2023/01/10
    ジャーナル フリー

    61歳,女性.肺腺癌術後の定期フォローの造影CT(computed tomography)検査で門脈血栓と診断された.その後のCTで陰影の増大を認め,門脈腫瘍塞栓が鑑別に挙げられた.FDG-PET(fluorodeoxyglucose positron emission tomography)/CT検査が施行され,同部位に集積を認めた.経皮経肝門脈生検によりびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(diffuse large B-cell lymphoma:DLBCL)と診断し,化学療法導入の方針となった.門脈腫瘍に対する手術生検や切除術は高リスク手技であることや,DLBCLの標準治療は化学療法であることから,経皮経肝門脈生検は本症例における最適な手技であったと考える.

  • 村井 裕美, 久我 祐介, 武藤 啓介, 菅原 望, 藤巻 哲夫, 齋藤 雄之, 野尻 俊輔, 埜村 智之, 近藤 友喜
    2022 年 111 巻 1 号 p. 104-110
    発行日: 2022/01/10
    公開日: 2023/01/10
    ジャーナル フリー

    81歳,男性.X-6年(当時75歳)に胸腺癌epidermoid non-keratinizing carcinomaの診断を受けた.手術不能であり,薬物・放射線療法を提示されたが,いずれも患者は望まず,以降best supportive careを継続していた.腫瘍は増大傾向を示し,X-2年には上大静脈症候群を発症していた.しかし,X-1年に撮影した胸部X線撮影にて縦隔腫瘤影が縮小していた.この間薬物療法も放射線療法も受けていなかった.予後不良な胸腺癌において自然退縮を確認した希有な例として報告する.

  • 佐藤 恵理, 唐沢 知行, 南條 嘉宏, 鈴木 創, 土屋 香代子, 布村 眞季
    2022 年 111 巻 1 号 p. 111-116
    発行日: 2022/01/10
    公開日: 2023/01/10
    ジャーナル フリー

    55歳,男性.健診異常を契機に胸部CT(computed tomography)を施行され,両肺に斑状のすりガラス影を指摘された.1年前に開始した加熱式たばこPloom TECH(プルーム・テック,以下PT)による肺障害が示唆され,PT使用中止のみで4カ月後に陰影はほぼ正常化した.本例は偶然発見された可逆性の喫煙関連間質性肺疾患(smoking-related interstitial lung diseases:SRILD)の可能性があると考えられた.加熱式たばこの使用量増加に伴い,今後同様の肺障害は増加する可能性があり,症例の蓄積が求められる.

医学と医療の最前線
  • 柏原 直樹
    2022 年 111 巻 1 号 p. 117-128
    発行日: 2022/01/10
    公開日: 2023/01/10
    ジャーナル フリー

    慢性腎臓病(chronic kidney disease:CKD)は腎不全の原因であるだけでなく,脳卒中や心血管病発症とも関係している.その診療実態の解析を目的として,日本腎臓学会は日本医療情報学会と共同し,全国規模の包括的CKD臨床効果情報データベース(Japan Chronic Kidney Disease Database:J-CKD-DB)を構築した.リアルワールドデータ(real world data:RWD)を活用してCKDの実態調査,予後規定因子の解析,標準治療の均霑化率の評価,有効な予防・重症化抑制策の立案,腎臓病診療の質向上に寄与することが目的である.SS-MIX(Standardized Structured Medical Information eXchange)2を用い,電子カルテ情報(electronic health record:EHR)からCKD該当例のデータを自動抽出しデータベース化するものである.全国15大学病院の参画を得て,14万8,000人のCKD症例を登録した.診療ガイドラインはエビデンスに基づくことが求められている.最も質の高いエビデンスはランダム化2重盲検試験(randomized controlled trial:RCT)及びそのメタ解析とされる.RCT実施は容易ではなく,臨床現場から提出される多くのclinical questionに答えることは困難である.RWDを活用することでエビデンス度の高い知見を創出することが可能である.

  • 福島 清春, 熊ノ郷 淳
    2022 年 111 巻 1 号 p. 129-133
    発行日: 2022/01/10
    公開日: 2023/01/10
    ジャーナル フリー

    間質性肺炎は「肺胞の壁である間質」で炎症や損傷が起こり持続することにより細胞外器質が間質に蓄積して線維化を来たす疾患であり,原因が明らかである二次性と原因が不明である特発性に分けられる.特発性の多くを占める特発性肺線維症(idiopathic pulmonary fibrosis:IPF)は,病態解明が不十分で予後不良の疾患である.IPFにおいては,治療の主体は抗線維化薬となり,病態をめぐる理解に関しても異常な創傷治癒過程としての持続的な線芽細胞巣の増生・進行性の線維化が起こるものとして理解されるに至り,線維化それ自体のメカニズムが研究・創薬の標的として中心的な存在となっている.我々は線維症の病態形成過程を精緻に分析することにより発症の起点となる単球サブセット(Nature 2017),及び線維症関連遺伝子であるRBM7(Immunity 2020)を先行研究において見出し,治療へとつながる新たな知見を得たため,近年の病態理解の進歩とともに紹介する.

専門医部会
シリーズ:「一目瞭然!目で見る症例」
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