日本内科学会雑誌
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医学と医療の最前線
間質性肺炎と免疫の最前線
福島 清春熊ノ郷 淳
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2022 年 111 巻 1 号 p. 129-133

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抄録

間質性肺炎は「肺胞の壁である間質」で炎症や損傷が起こり持続することにより細胞外器質が間質に蓄積して線維化を来たす疾患であり,原因が明らかである二次性と原因が不明である特発性に分けられる.特発性の多くを占める特発性肺線維症(idiopathic pulmonary fibrosis:IPF)は,病態解明が不十分で予後不良の疾患である.IPFにおいては,治療の主体は抗線維化薬となり,病態をめぐる理解に関しても異常な創傷治癒過程としての持続的な線芽細胞巣の増生・進行性の線維化が起こるものとして理解されるに至り,線維化それ自体のメカニズムが研究・創薬の標的として中心的な存在となっている.我々は線維症の病態形成過程を精緻に分析することにより発症の起点となる単球サブセット(Nature 2017),及び線維症関連遺伝子であるRBM7(Immunity 2020)を先行研究において見出し,治療へとつながる新たな知見を得たため,近年の病態理解の進歩とともに紹介する.

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