日本内科学会雑誌
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医学と医療の最前線
腎臓病診療におけるAI,ICT活用
猪阪 善隆
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2023 年 112 巻 10 号 p. 1973-1978

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抄録

AIやICTの技術は指数関数的に進化するとされ,AIが人間に置き換わるとの議論もある.AIが有する①無制限の集中力と持続力,②超高速の論理的思考力,③膨大な記憶力と検索力は医療に革新的な変化をもたらす可能性がある.海外ではAIやICTの活用や社会実装が進んでいる.わが国でも課題も多いものの,腎臓病診療においてもAIやICTは活用され始めている.ICTを利用した遠隔医療や医療支援は日常診療にも応用されつつある.今後は適正な使用のための指針も必要となる.AIによる腎生検の画像診断も病理医の診断に近づいてきた.今後の臨床研究においてビッグデータ解析は重要である.AIはビッグデータや画像診断などから学習することにより診断・予測を行うだけではなく,人間が従来発見できなかった関係性を発見する可能性もある.AIの膨大な検索能力は論文のシステマティックレビューにも有用である.今後AIやICTの活用が腎臓病分野において期待される.

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