2023 年 112 巻 5 号 p. 769-776
2019年に本邦で,新規腎性貧血治療薬であるHIF-PH阻害薬が臨床応用された.低酸素誘導因子(HIF)を体内で活性化させてエリスロポエチン(erythropoietin:EPO)の産生を促し,ヘモグロビン値を上昇させる内服製剤である.赤血球造血の有効性は赤血球造血刺激因子製剤(ESA)と比較して同等であり,腸管からの鉄吸収や体内での鉄利用を促進する作用機序を併せ持つ.長期有効性・安全性に関する知見が集積しつつあり,腎性貧血治療の新たな選択肢として期待される.