2023 年 112 巻 5 号 p. 777-783
近年では高齢化進展の影響もあり慢性腎臓病(CKD)患者が増加しており,心腎連関機序によって脳心血管病,特に心不全を合併したCKD患者のさらなる増加が懸念される.このような複合病態による「心血管腎臓病」患者に対しては,血圧や血糖などに対する従来治療とともに新規治療薬も活用した包括的治療管理の重要性が増しつつある.本稿では,ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬(MR拮抗薬)とアンジオテンシン受容体ネプリライシン阻害薬(ARNI)に焦点を当て,また,MR拮抗薬とSGLT2阻害薬との併用療法に関する筆者らのネットワークメタ解析の結果も紹介しながら,CKD患者における心腎連関制御のための治療について解説したい.