日本内科学会雑誌
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医学と医療の最前線
ポストコロナ時代における在宅医療の展望
木村 琢磨
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2023 年 112 巻 5 号 p. 851-856

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抄録

第一に,我が国の社会状況においては,在宅医療の対象として高齢者はもちろん,障害者・医療的ケア児,一人暮らしの方も含まれることを意識し,災害時の対応も念頭におく.第二に,昨今の医療を取り巻く現状として,多疾患併存(multimorbidity),ケア移行,二人主治医制,医師の働き方改革,在宅医療の安全確保を意識することが在宅医療にも望まれる.第三に,在宅医療の質向上として,在宅医療における診断・治療機器の進歩,診療の質担保,患者・介護者のQOLの視点,在宅における意思決定支援についての議論が求められる.第四に,昨今のICTの発展により医療現場で変革が著しい,オンライン診療,患者情報のデジタル化は,今後の在宅医療に変革をもたらすと考えられる.以上,四つの観点をふまえ,我が国における在宅医療が,今後,ますます個々の住民・患者の生活の質向上に寄与し,地域包括ケアが具現化することが望まれる.

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