2023 年 112 巻 7 号 p. 1216-1222
多発性骨髄腫の前段階と称されるMGUS(monoclonal gammopathy of undetermined significance)は,その腫瘍量の少なさから臓器障害を伴わないとされてきた.しかし近年MGUSにおいても,産生されたM蛋白による腎障害を呈することが明らかになり,これをMGRS(monoclonal gammopathy of renal significance)と定義した.抗腫瘍療法による腎予後の改善が期待されるが,診断,治療方針などに関する課題は多く,認知度の低さによる未診断例も多いと予想される.腎臓内科,血液内科,病理医をはじめ,腎臓を診る全ての医師がMGRSを認識する必要がある.