日本内科学会雑誌
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医学と医療の最前線
成人スチル病の診断と治療の進歩
川畑 仁人
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2023 年 112 巻 8 号 p. 1429-1434

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抄録

成人スチル病は発熱,一過性皮疹,関節炎を主症状とする炎症性疾患である.成人発症スチル病は小児期発症の全身型若年性特発性関節炎に相当する16歳以上での成人発症例を指し,成人スチル病という場合には全身型若年性特発性関節炎の成人移行例も含む.主要3症状のほか咽頭痛や筋痛,リンパ節腫脹や肝脾腫なども認めることがある.検査では炎症所見のほか,血清フェリチン値やIL-18の著増を示すことが多い.注意すべき合併症はマクロファージ活性化症候群である.治療は糖質コルチコイドが中心となるが,メトトレキサートやカルシニューリン阻害薬の併用も治療抵抗性例では行われる.また近年抗IL-6受容体抗体トシリズマブも適応承認を得たことにより治療抵抗性例における有力な治療選択肢となった.

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