著者の勤務する病院での救急受診状況を解析してみると, 従来云われてきた外科系急患の割合は少なく, 半数以上を内科系急患, とりわけ高齢慢性疾患患者の急性増悪, が占めている. この構図は高次救急に特化していないwalk-in ER型の救急部門を営む多くの病院に当てはまると想像される. ところがその救急部門を指導・運営する救急医の大半は外科系を基盤として研修してきているため, 構造的なひずみが生じている. 内科系医師の救急実態に対する認識も十分とはいえない. 病院群の再編, 地域における包括的患者ケアが大きく変化しつつある現在, 問題を注視してより良い方向への舵取りが望まれる. 一方, walk-in ER型救急部門は的確な管理指導を行えば, 素晴らしい卒後研修の場を提供する. 研修医たちを放任すれば全くその逆の結果になりかねないことに留意しながら, 救急を更に卒後研修教育システムの中に組み込む努力が求められている.