日本内科学会雑誌
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医学と医療の最前線
腎機能の評価
堀尾 勝
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2007 年 96 巻 1 号 p. 159-165

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抄録
米国のKDIGOガイドラインは慢性腎臓病の重症度分類に糸球体濾過量(GFR)を用いており,国際的にはクレアチニンクリアランス(Ccr)ではなくGFRで腎機能を評価する方向に進んでいる.Ccr/GFR比は末期腎不全では2倍程度となりCcrとGFRは異なった腎機能の指標である.日本ではイヌリンクリアランスの測定が保険適用となり腎生検施行症例や,腎移植のドナーなどで正確なGFR実測が可能となった.一般臨床では血清クレアチニンと年齢,性別よりGFRを推算するMDRD推算式が推奨されるが,GFR<60 ml/min/1.73 m2の日本の症例では実測値より高く推算されるので,係数0.741による補正が必要である.70歳以下ではGFR<50 ml/min/1.73 m2で腎機能低下速度が速く,管理が必要と思われる.血清シスタチンCは測定法の標準化が行われていないが,新たな腎機能の指標として期待される.
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© 2007 一般社団法人 日本内科学会
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