日本内科学会雑誌
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96 巻 , 1 号
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内科学会ニュース
会告
特集●高血圧:診断と治療の進歩
Editorial
トピックス
I.診断と病態
  • 大蔵 隆文, 檜垣 實男
    2007 年 96 巻 1 号 p. 4-8
    発行日: 2007年
    公開日: 2009/12/01
    ジャーナル フリー
    本態性高血圧は病因が単一でなく,遺伝的素因と環境因子との相互作用により発症すると考えられている.様々な遺伝子解析の結果から,高血圧発症に関わる遺伝子候補が同定されているが,遺伝子そのものが血圧を上昇させるよりも,環境による昇圧反応の程度が遺伝的に決定されていることが明らかとなってきた.その環境因子の中で,食塩の過剰摂取やストレスが重要視されており,最近ではインスリン抵抗性の関与が注目されている.
  • 島本 和明, 三浦 哲嗣
    2007 年 96 巻 1 号 p. 9-15
    発行日: 2007年
    公開日: 2009/12/01
    ジャーナル フリー
    インスリン抵抗性は高血圧患者の半数で認められ,メタボリックシンドロームの昇圧機序には,代償性高インスリン血症が,交感神経活性,レニン―アンジオテンシン系活性の亢進や腎Na貯留を介して関与する.特にレニン―アンジオテンシンはインスリン抵抗性との間で悪循環を構成し,インスリン抵抗性による高血圧の成因には重要な役割を示す.また,adipocytokineであるTNF-αとadiponectinの異常にもレニン―アンジオテンシン系は関与し,ARBやACE阻害薬はadipocytokineの異常を正常化することもインスリン抵抗性改善に与るものと考えられる.
  • 杤久保 修
    2007 年 96 巻 1 号 p. 16-22
    発行日: 2007年
    公開日: 2009/12/01
    ジャーナル フリー
    聴診法は簡便ではあるが,聴診という主観に頼っており,測定条件によっては大きな誤差を伴う.また点(随時)測定であるため各個人の日常生活における血圧値を必ずしも代表していない.このため,今後の診療においては測定アルゴリズムの明確な自動血圧計を日常診療にも併用していくべきと考えられる.また家庭血圧や24時間血圧測定も活用し,1日の低い血圧(基底血圧や就眠前血圧)と高い血圧(早朝血圧)も把握して,診断や治療の目安にする必要がある.
  • 伊藤 貞嘉
    2007 年 96 巻 1 号 p. 23-28
    発行日: 2007年
    公開日: 2009/12/01
    ジャーナル フリー
    二次性高血圧の頻度は高くないが,根治できるものがあるので見落とすことの無いようにすることが必要だ.早期に診断し,治療することが重要で,臓器障害が出現してからでは血圧を正常化させることが難しくなる.どんなに優れた降圧薬でも「no medicine」に優るものはない.ただ漫然と降圧薬を投与するのではなく,二次性高血圧の兆候を敏感に捉えてスクリーニングすることが重要である.
II.治療の実際
  • 安東 克之
    2007 年 96 巻 1 号 p. 29-34
    発行日: 2007年
    公開日: 2009/12/01
    ジャーナル フリー
    非薬物療法(生活習慣の修正)はすべての高血圧患者に対して実施すべきである.2004年の日本高血圧学会のガイドライン(JSH2004)では(1)食塩制限,(2)野菜・果物の積極的摂取とコレステロールや飽和脂肪酸の摂取制限,(3)適正体重の維持,(4)運動療法(定期的な有酸素運動),(5)アルコール制限,(6)禁煙の6つをあげている.生活習慣修正は単独で行うよりも複合的に行う方がより有用である.
  • 梅村 敏
    2007 年 96 巻 1 号 p. 35-40
    発行日: 2007年
    公開日: 2009/12/01
    ジャーナル フリー
    高血圧症の治療開始時期は(1)高血圧のレベルと,(2)血圧以外の心血管病の危険因子,心血管病,臓器障害の程度を評価し,リスクの層別化を行い,そのリスクの程度に応じた高血圧管理計画にしたがい,降圧薬治療を行う.降圧目標値は若年・中年では130/85 mmHg未満,高齢者では140/90 mmHg未満,慢性腎疾患,糖尿病で130/80 mmHg未満である.
  • 松浦 秀夫
    2007 年 96 巻 1 号 p. 41-46
    発行日: 2007年
    公開日: 2009/12/01
    ジャーナル フリー
    合併症のない患者のリスクの層別化は血圧値による.生活習慣の修正を指導した後,降圧が不十分であれば降圧薬を使用するが,降圧薬の選択にあたっての制約はない.初期治療を開始するにあたりカルシウム拮抗薬,アンジオテンシンII受容体拮抗薬,利尿薬,β遮断薬,α1遮断薬から1剤を選択する,または適切な少量2剤の併用を考慮する.厳格かつ24時間にわたる降圧を得るため,家庭血圧の評価も重要であり,早朝高血圧や仮面高血圧などに留意する.
  • 楽木 宏実, 荻原 俊男
    2007 年 96 巻 1 号 p. 47-54
    発行日: 2007年
    公開日: 2009/12/01
    ジャーナル フリー
    高血圧治療ガイドラインにおける高齢者高血圧の降圧目標は,最終的には140/90 mmHg未満であるが,75歳以上の場合には,150/90 mmHg未満を目指す暫定目標が示されている.また,超高齢者高血圧の治療対象や降圧目標については十分なエビデンスがない.一般に,高齢者は同じ暦年齢であっても循環動態に関する予備能力に大きな違いがあることを認識し,患者個々の病態に応じた注意深い降圧治療が求められる.
  • 石田 俊彦
    2007 年 96 巻 1 号 p. 55-59
    発行日: 2007年
    公開日: 2009/12/01
    ジャーナル フリー
    高血圧を合併する糖尿病患者の降圧治療として,糖尿病性腎症の発症予防あるいは進展阻止の面からACE阻害薬あるいはARBが第一選択薬となる.しかし,降圧目標(130~80 mmHg)に到達できない場合は,Ca拮抗薬の併用が臓器保護の面でも有効かつ好ましい選択である.高齢者では少量の利尿剤も有効の場合があり,ARBと利尿剤の合剤が注目される.
  • 赤澤 宏, 小室 一成
    2007 年 96 巻 1 号 p. 60-64
    発行日: 2007年
    公開日: 2009/12/01
    ジャーナル フリー
    高血圧は,圧負荷によって心肥大を誘導するとともに冠動脈硬化を促進することで,心血管イベントのリスクを増大させる.心疾患を有する高血圧に対しては,十分で(140/90 mmHg未満)持続的な降圧が必須である.さらに,最近の大規模臨床試験や基礎研究の結果から,病態に応じて降圧薬を選択することがガイドラインによって推奨されている.
  • 清元 秀泰
    2007 年 96 巻 1 号 p. 65-72
    発行日: 2007年
    公開日: 2009/12/01
    ジャーナル フリー
    腎機能障害は心血管イベントと関連しており,尿中微量アルブミン濃度による早期腎障害のスクリーニングが重要である.レニン・アンジオテンシン(RA)系抑制薬は腎障害進展抑制効果が強く,腎障害合併高血圧症の第一選択薬となった.メタボリック症候群が増加する現代においては,降圧目標達成の併用療法においても酸化ストレス抑制作用のある降圧薬を選択し,早期腎症からRA系抑制薬を中心にすえた心血管系疾患の予防が重要である.
  • 松村 潔, 阿部 功
    2007 年 96 巻 1 号 p. 73-78
    発行日: 2007年
    公開日: 2009/12/01
    ジャーナル フリー
    脳血管障害急性期には,著しい高血圧が持続する場合や血栓溶解療法を予定している場合を除いて,原則として積極的な降圧治療は行わない.一方,慢性期では,脳血流自動調節能の下限域が右側偏位するとともに脳血流の全般的な低下を伴っているので,臨床症状に注意しながら慎重な降圧治療が必要であるが,PROGRESS試験により降圧治療が脳卒中再発抑制に有用であることが示されている.降圧薬の種類により脳血管障害の再発抑制効果に差があるかどうか,脳卒中発症後の至適血圧値がどのレベルにあるかは今後の課題である.
III.最近の話題
  • 苅尾 七臣
    2007 年 96 巻 1 号 p. 79-85
    発行日: 2007年
    公開日: 2009/12/01
    ジャーナル フリー
    近年,診察室血圧が正常で,診察室以外の血圧が高値を示す「仮面高血圧」が注目されている.仮面高血圧は未治療者の10~15%,治療中高血圧患者の20~25%に存在する.その心血管リスクは正常血圧より2~3倍高く,診察室と診察室以外の血圧レベルが共に高い持続性高血圧と同程度かそれ以上である.仮面高血圧の表現型には,早朝血圧,ストレス性高血圧,夜間高血圧があり,その治療には個々の背景病態を把握する必要がある.早朝高血圧をターゲットにした降圧療法が,仮面高血圧治療の最初の第一歩である.
  • 今井 潤, 大久保 孝義, 菊谷 昌浩, 橋本 潤一郎
    2007 年 96 巻 1 号 p. 86-93
    発行日: 2007年
    公開日: 2009/12/01
    ジャーナル フリー
    家庭血圧は現在本邦で3,000万台以上が各家庭で稼動している.医療者の家庭血圧に対する評価は高いが,医療者,一般市民ともに,家庭血圧に関する適切な知識は不充分であり,正しい情報の普及活動が必要である.更にその前提として,家庭血圧測定条件,評価の標準化が必要である.家庭血圧の高血圧診療における普遍性(共通性,共有性)を確立するために,ガイドラインは不可欠である.現在最も混乱している点は一機会の測定回数と,どの血圧値を評価するかの問題である.高血圧診断の目的には,一機会に複数回測定された第一回目の家庭血圧値の長期の平均値を用いることがすすめられる.
  • 植田 真一郎
    2007 年 96 巻 1 号 p. 94-100
    発行日: 2007年
    公開日: 2009/12/01
    ジャーナル フリー
    降圧利尿薬は特にレニン―アンジオテンシン系抑制薬との併用による降圧作用の増強はあきらかで,厳格な降圧にはむしろ必須であり,多くの心血管イベントを抑制するというエビデンスがあり,副作用も適切な用量と併用薬により避けられる可能性が高い.現在安全性に関する臨床試験が進行中であるが,糖尿病合併高血圧患者などでも臨床試験を実施し,心血管リスクを減少させるための適切な使用を推進していく必要がある.
  • 中村 幸志, 岡村 智教, 上島 弘嗣
    2007 年 96 巻 1 号 p. 101-105
    発行日: 2007年
    公開日: 2009/12/01
    ジャーナル フリー
    わが国の国民医療費は年々高騰しており,その抑制は重要な課題である.国民医療費の中で最も多くを占めているのが循環器疾患の医療費である.高血圧は循環器疾患の危険因子であり,その長期にわたる治療や高血圧に起因する脳卒中などの予後不良なイベントを介して医療費を増加させることがわれわれのコホート研究で示されている.高血圧に関連した医療費の抑制のためには,生活習慣の改善による高血圧の予防や治療と,適切に選択された降圧薬による高血圧管理が重要である.
座談会
トレーニング問題
今月の症例
医学と医療の最前線
  • 大西 健児
    2007 年 96 巻 1 号 p. 153-158
    発行日: 2007年
    公開日: 2009/12/01
    ジャーナル フリー
    輸入感染症の患者は下痢,あるいは発熱で医療機関を受診する場合が多い.輸入感染症患者を見逃さないためには,受診者全員に海外旅行歴を尋ねる必要がある.診断で重要なことは,抗菌薬投与前に便あるいは血液などの細菌検査用検体を採取することである.熱帯熱マラリアは有効な治療法が存在するが,治療が遅れたり適切な治療がなされなかった場合には,患者が死亡したり重篤な後遺症を残す場合がある.発熱患者では熱帯熱マラリアを早期に診断するように努力しなければならない.
  • 堀尾 勝
    2007 年 96 巻 1 号 p. 159-165
    発行日: 2007年
    公開日: 2009/12/01
    ジャーナル フリー
    米国のKDIGOガイドラインは慢性腎臓病の重症度分類に糸球体濾過量(GFR)を用いており,国際的にはクレアチニンクリアランス(Ccr)ではなくGFRで腎機能を評価する方向に進んでいる.Ccr/GFR比は末期腎不全では2倍程度となりCcrとGFRは異なった腎機能の指標である.日本ではイヌリンクリアランスの測定が保険適用となり腎生検施行症例や,腎移植のドナーなどで正確なGFR実測が可能となった.一般臨床では血清クレアチニンと年齢,性別よりGFRを推算するMDRD推算式が推奨されるが,GFR<60 ml/min/1.73 m2の日本の症例では実測値より高く推算されるので,係数0.741による補正が必要である.70歳以下ではGFR<50 ml/min/1.73 m2で腎機能低下速度が速く,管理が必要と思われる.血清シスタチンCは測定法の標準化が行われていないが,新たな腎機能の指標として期待される.
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