日本内科学会雑誌
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医学と医療の最前線
偽アルドステロン症の重症副作用への疾患別対応
柴田 洋孝伊藤 裕
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2007 年 96 巻 4 号 p. 805-810

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抄録

偽性アルドステロン症は,甘草(グリチルリチン酸)の慢性摂取により,高血圧,低カリウム血症,低レニン血症,低アルドステロン血症を呈する疾患である.腎臓の皮質集合管細胞にあるミネラルコルチコイド受容体(MR)に,アルドステロンとコルチゾールは等しい親和性で結合するが,通常,11β-hydroxysteroid dehydrogenase type 2によるコルチゾールからコルチゾンへの不活化により,アルドステロンが選択的にMRに結合する.グリチルリチン酸は,この酵素活性を可逆的に阻害することにより,腎臓内で上昇した内因性コルチゾールにより,MRを活性化して,Na再吸収およびK排泄が亢進するのが病態である.治療としては,原因薬物や食物の減量または中止であるが,一部の症例ではミネラルコルチコイド過剰症状が遷延することがあり,減塩,K補充,MR拮抗薬のスピロノラクトン投与などが有効である.

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© 2007 一般社団法人 日本内科学会
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