2008 年 97 巻 10 号 p. 2549-2551
重症心不全をきたした心房中隔欠損症に伴うEisenmenger症候群の症例に対しエンドセリン受容体拮抗薬,bosentanが著効を示した症例を経験した.病態改善の機序としては,bosentanによる直接的な肺動脈圧の低下に加え,拡大していた心および肺動脈によって引き起こされた無気肺が,肺動脈圧の低下に伴い改善したことが関与していると考えられた.予後不良の疾患群であるEisenmenger症候群に対し,bosentanが新たな治療選択となる可能性が示唆された.