日本内科学会雑誌
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医学と医療の最前線
肺炎球菌ワクチン―5年後の再接種の是非―
大石 和徳
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2008 年 97 巻 4 号 p. 836-841

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抄録
肺炎球菌ワクチン接種の成人における市中肺炎の重症化阻止効果が明らかになり,本邦における高齢者における接種率も徐々に増加してきている.肺炎球菌ワクチンの再接種を希望する患者が増加する状況下で,本邦ではその再接種が未だ禁忌となっている事が問題視されている.現在までに,国内関連4学会から厚生労働省に対して再接種の要望書が提出されている.高齢者や慢性呼吸器疾患においては,肺炎球菌ワクチンの初回接種後の血清中特異IgG濃度は免疫原性の低い血清型によっては5年以内に接種前値以下に低下することから,再接種の承認が必要である.再接種による血清中特異IgG抗体応答は初回時のそれより低下するものの,副反応も重篤なものは無く安全である.本邦では通常65歳以上の高齢者に初回接種されることから,当面は初回接種の5年後の再接種の承認に向けて国民の意識を高めていく必要がある.
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© 2008 一般社団法人 日本内科学会
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