日本内科学会雑誌
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I.障害部位・病態による臨床病型
5.傍腫瘍性網膜症
大黒 浩斉藤 由幸
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2008 年 97 巻 8 号 p. 1790-1795

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抄録
傍腫瘍性網膜症は腫瘍細胞に本来網膜にのみ存在する網膜特異抗原が異所性発現することにより腫瘍細胞と網膜との間に共通抗原が生じ,自己免疫機序により神経網膜が障害される疾患である.本症では網膜の進行性変性に伴い視感度の低下,視野狭窄などの症状を呈する.癌の原発病巣としては,肺癌,特に小細胞癌が最も多く,次いで消化器系および婦人科系の癌の頻度が高い.診断としては上記の臨床症状に加えて血清中に抗網膜抗体が証明されれば診断が確定的となる.現時点では確立された治療法はないが,分子病態が明らかになってきており,分子病態に基づく新しい治療法の開発が模索されつつある.
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© 2008 一般社団法人 日本内科学会
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