2009 年 98 巻 7 号 p. 1608-1618
2008年より血友病に対する凝固因子補充療法/止血治療のガイドラインが作成されており,インヒビターのない患者に対しては個人差を考慮し,投与法に一定の幅をもうけると同時に,手術・処置で持続輸注をはじめて推奨することとした.一方インヒビターを保有する先天性血友病患者に対しては出血の重症度,最新のインヒビター値および既往免疫反応を考慮してバイパス止血療法もしくはインヒビター中和療法を選択することが推奨されている.今後von Willebrand病も含めた先天性出血疾患の補充療法においては科学的な根拠に基づきつつ,より実践的な治療指針が必要とされるだろう.