日本内科学会雑誌
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血液疾患における赤芽球の鉄代謝に関する研究
木村 郁郎三宅 毅小谷 利一山本 矩朗山内 泰助
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1959 年 48 巻 8 号 p. 1283-1289

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抄録

血液疾患における赤芽球の鉄代謝を追求する目的で, Fe55によるRadioautographyを実施し,同時にSideroblastと対比して観察した.全般的に放射性鉄摂取赤芽球は多染性が最も多く,次いで正色性であり,又個々の赤芽球の摂取状態は多染性,塩基好性に高度のものが見受けられる.疾患別の鉄摂取状態について見れば,一般に本態姓低色素性貧血に最も高度で,真性赤1血球増多症,バンチ氏病,悪性腫瘍などが之に次ぎ,鍵康人,白血病,再生不良性貧血の順に低調となる. Sideroblastの平均可染性鉄穎粒数とRadioautographyによる平均放射性鉄出現度との間には一般に負の相関が認められ,この可染性鉄の状態は鉄摂販能力判定の指標となることを示し,同時に赤芽球の鉄摂取にその有する非ヘミン鉄が重要な役割を演じていることを示している.

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