日本内科学会雑誌
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赤血球表面における血漿蛋白質附着に関する研究
各種疾患血液における放射性51Crを用いての実験
湖山 聖道
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1959 年 48 巻 9 号 p. 1488-1500

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抄録

各種疾患例69及び正常例14を対象として,その血液資料を51CrCl3を用いて標識し,生食水により赤血球層を繰り返し洗滌し乍ら放射能の減少を観察した.実験成績は次の如くである. 1)赤血球の放射能は洗滌と共に減少するが一定量の放射能は常に存在し, 7, 8回の洗滌によつても変らない. 2) 同一資料を二分して同時に行なった実験ではその成績が一致し,実験再現性を確認した. 3)赤血球残留放射能は症例により種々の値を示す.疾患種類との関係は特につけ難いが,赤沈促進例では赤沈正常例に比して著明な高値を認めた.クームス陽性例では赤沈正常なるも高値を示した. 4)洗滌後赤血球に残留する放射能は,その表面附着蛋白質と結合した51Crによるものと考えられるので,赤沈促進及びクームス陽性例では赤血球表面附着蛋白質の増加が推定された.この現象は免疫反応のみならず赤沈促進を含めて一般血球凝集現象の機序に関連して意義の深い知見と考えられた.

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