日本内科学会雑誌
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閉塞の証明し得なかつた内頸動脈閉塞症の1剖検例その発生機序にかんする一考察
里吉 営二郎木下 真男樋川 英子福永 昇小坂 不二彦
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1964 年 52 巻 11 号 p. 1376-1382

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抄録

症例: 35才,男,板前.昭和31年10月25日より徐々に発熱,右運動麻痺,言語障害が出現し, 28日入院した.入院時血圧120/80,腱反射亢進,病的反射陽性で,その後,運動麻痺は一時回復したが,発熱,低血圧発作と共に右片麻痺は再び悪化し,これに加えて, 32年11月には左の眼瞼下垂, 35年8月には左片麻痺も認めるようになつた.経過中3回にわたつて頚動脈写を行なつたが,いずれも両側総頚動脈での閉塞像を認め,椎骨動脈写によりはじめて前及び中大脳動脈が撮影された,入院後5年3カ月で死亡したが,剖検所見では両側頚動脈にやゝ狭窄を認めるが閉塞所見は全くなく,両側内包及び視丘外側核,淡蒼球から,左は内包後脚から赤核,黒質に至る軟化巣と,脳橋底部の両側軟化巣を認めた.かゝる症例の発生病理につき,二,三の考察を加えた.

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