日本内科学会雑誌
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内科疾患における胸腔鏡の診断的意義について
荒牧 長門
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1964 年 53 巻 2 号 p. 121-131

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抄録

Jacobaeus以来の胸腔鏡検査を,内科的立場より,現在の内視鏡の技術的水準より再び試みた.全くKaustikよりはなれて,診断的価値の検討を行なわんとした.すなわち胸腔鏡用として新型内視鏡および水冷式映画用内視鏡を改良製作し,天然色写真撮影および映画撮影を行ない記録とした.自発気胸例にては嚢胞破裂と結核性の原因が多数を占ることを内視鏡的に確認したが,嚢胞破裂例にはtalcの狙撃散布によりpleurodesisを生ぜしめることにより,内科側としての治療の積極化を計り良好な結果をえた.胸部腫瘍例にも検査を行なって手術適応の決定を下し,また同時に直視下の生検・穿刺を併用することにより内視鏡検査法としての実用性を高めた.本検査の適応症に対しては微細な変化でも発見可能なことがあり,また反復検査を施行することにより経過観察,予後判定に重要な価値を有する.

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