日本内科学会雑誌
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53 巻 , 2 号
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  • 荒牧 長門
    1964 年 53 巻 2 号 p. 121-131
    発行日: 1964/05/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    Jacobaeus以来の胸腔鏡検査を,内科的立場より,現在の内視鏡の技術的水準より再び試みた.全くKaustikよりはなれて,診断的価値の検討を行なわんとした.すなわち胸腔鏡用として新型内視鏡および水冷式映画用内視鏡を改良製作し,天然色写真撮影および映画撮影を行ない記録とした.自発気胸例にては嚢胞破裂と結核性の原因が多数を占ることを内視鏡的に確認したが,嚢胞破裂例にはtalcの狙撃散布によりpleurodesisを生ぜしめることにより,内科側としての治療の積極化を計り良好な結果をえた.胸部腫瘍例にも検査を行なって手術適応の決定を下し,また同時に直視下の生検・穿刺を併用することにより内視鏡検査法としての実用性を高めた.本検査の適応症に対しては微細な変化でも発見可能なことがあり,また反復検査を施行することにより経過観察,予後判定に重要な価値を有する.
  • 門田 正己
    1964 年 53 巻 2 号 p. 132-147
    発行日: 1964/05/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    各種肝疾患におけるアミノ酸代謝を検討するため,高圧濾紙電気泳動法により血清遊離アミノ酸7種を分離測定した.肝障害患者の血清遊離各アミノ酸は一般に増加を示し,肝性昏睡ではグルタミン酸,アラニン,リジンの増加が高度で,とくにグルタミン酸の末梢組織への蓄積は著明であつた.急性黄色肝萎縮では各アミノ酸の増加とそれらの末梢組織への蓄積が特異的に高度であつた.混合アミノ酸製剤を高アンモニア血症を伴なわない肝硬変に静注負荷すると,各アミノ酸とも一時増加し,ついで減少するが,高アンモニア血症を伴なうものでは一時減少後漸次増加した.肝性昏睡患者にアルギニン・グルタメートを投与すると,各アミノ酸は末梢組織より放出されるとともに血中濃度も減少し,これに伴なつて昏睡も軽快した.これらの臨床成績の結果を正常犬および長期に亘り四塩化炭素を経口投与した肝障害犬について検討した.
  • 小林 陽太郎
    1964 年 53 巻 2 号 p. 148-164
    発行日: 1964/05/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    血清イソクエン酸脱水素酵素(ICD)活性値は肝細胞障害に際し特異的に上昇することが認められているが,著者はBowers法により諸種肝疾患々者血清中の本酵素活性値を測定し,疾患の経過を追つてその変動を諸種酵素活性値と同時に観察し,肝疾患における本酵素活性値の示す意義と他酵素活性値変動との相関を検討した.ICD活性値は急性肝炎初期,肝性昏睡期,肝実質障害を伴なつた閉塞性黄疸等の場合に上昇が認められ,肝硬変,慢性肝炎ではその経過中,肝細胞障害を来たした時期に上昇が認められた.また蛋白同化ホルモン(HMD)を長期間投与して,臨床的ならびに動物実験的に活性値の変動を観察した結果, 6~8週間の間隔で活性値の周期的な上昇が認められ,活性値の上昇は肝疾患々者に投与した際に,より著明であつた.肝障害のない患者に輸血を施行したさい,輸血後8週間前後に,その45%に活性値の上昇が認められ,長期間活性値上昇を示す型と一過性に上昇を示す型が観察された.
  • 小磯 謙吉
    1964 年 53 巻 2 号 p. 165-181
    発行日: 1964/05/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    ヒト白血病細胞の核酸代謝を14C-蟻酸の白血病細胞核酸塩基への転入という動的な面において把握するとともに,抗白血病薬が14C-蟻酸転入に及ぼす影響について検討した. 14C-蟻酸の転入実験よりすると,各白血病および白血球増加疾患中では,急性骨髄性白血病>骨髄線維症・感染症>慢性(骨髄性,リンパ性)白血病の順であり,各核酸およびその塩基間では, RNA>DNA, DNA塩基ではthymine>adenine>guanine, RNA塩基では, adenine>guanineの順であつた.抗白血病薬の転入率に及ぼす影響をみると, 6 MPは各感血病で10-3~10-5Mの濃度で両核酸塩基への転入抑制を認めた. cyclophosphamide (Endoxan, 以下CP)はほとんど各白血病への転入抑制を認めない. in vitroではCPが活性型になり得ないためと考えられる. mitomycin Cでは1~100 μg/ml, prednisoloneでも10-3~10-5Mの濃度で両核酸塩基への転入抑制が認められた.かゝる薬剤は, in vitroでもCPを除きヒト白血病細胞核酸代謝を障害することが示唆された.
  • 長谷川 弥人, 高橋 隆一, 鳥飼 勝隆
    1964 年 53 巻 2 号 p. 182-187
    発行日: 1964/05/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    Histiocytic medullary reticu1osisは発熱,貧血,白血球減少,栓球減少,肝脾腫など臨床的にもかなり定型的な症状を現わし,組織学的にも著明な赤血球貪食を伴なった網内系細胞の増殖がみられる点で特異な存在にある.しかるに本症はScott, Robb-Smithの報告以来48例が報告されているに過ぎず,しかも剖検によつて初めて診断される場合がほとんどである.本邦においては,われわれが検索しえた限りでは文献上未だその報告をみない.今回われわれは60才の女で著明な貧血と全身浮腫を主訴として入院,諸検査により全血球減少症,低蛋白,低コレステロール血症を認め,発症後約10カ月で死亡したが,剖検によつて顕著な赤血球貪食を伴なつた網内系細胞のびまん性増殖が明らかとなり, histiocytic medullary reticulosisと推定される1例を経験した.
  • 太田 善郎, 清田 正司, 大宅 一平, 今村 孝, 花田 基典
    1964 年 53 巻 2 号 p. 188-194
    発行日: 1964/05/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    昭和32年以降当教室で行なつている西日本地域での異常血色素症のscreeningにおいて,最近鹿児島市に存在し,顔面tic症を有する9才の少女より異常Hbを発見し, Hb Kagoshimaと命名された.この発端者には特記すべき血液学的所見は認められなかったが,その遺伝性は2世代に亘つて証明された.アルカリ性pHでの諸種電気泳動法では,この異常成分は明らかに正常成人血色素(Hb A)より速い易動度を示し,全血色素の25%を占める. Hb Miyada (α2A 2β Miyada 2)およびイヌHbとを用いたhybridization試験では, Hb Kagoshimaはそのα-polypeptide鎖に異常を持つことが判明した.さらにfingerprint法による異常peptideの検索同定の結果は,そのglobin構造の異常がIngram numberの20α(21α),即ちα-polypeptideのN末端より7番目のpeptide fragment (αTp VII)にあることが確かめられた.これらの実験成績はHb Norfolk257 Asp 2 βA 2)に類似しており,その異同にかんしては,目下研究中である.
  • 五十嵐 丈記
    1964 年 53 巻 2 号 p. 195-202
    発行日: 1964/05/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    47才の男で,浮腫,血溝蛋白低下,色素異常沈着および四肢末梢の弛緩性運動麻痺および知覚異常を主な症状とし,アイソトープ使用によりidiopathic hypercatabolic hypoproteinemiaの診断に至つた症例について報告した.血清蛋白は最低値で4.8g/dlであり, A/Gは1.2であつた,窒素平衡は負を示したが,高蛋白食摂取時には正であつた. RISA使用によるアルブミン代謝測定で,生物学的半減期は対照の15日に比べて7日と短縮しており,異化亢進を示した. 131PVP使用によるゴルドン・テストでは屎中排泄率が0.9%で,消化管への蛋白漏出は考えられず,胃X線像,胃カメラ所見,腸バリウム所見,さらに組織学的検査からも,いわゆるexsudative gastroenteropathyは否定できた.一般検査により内分泌障害,とくに,間脳下垂体副腎系の軽度の変調がうかがわれたのであるか,病理学的検索で,全身にわたる結合織の脂肪沈着の増量がめだつ以外,低蛋白血症の原因と思われる病変はつかみ得なかつた。トリプトファン試験を行なつたところ,対照とは異なる結果が得られた.その意味づけは困難であるが,蛋白代謝の異常を推測できるものであろう.本症例は近年強調されている消化管内への蛋白漏出を認めず,蛋白代謝障害にもとづく狭義の本態性低蛋白血症といえると思う・併存せる神経症状ならびに色素異常沈着は従来の報告例に見られないものであり,興昧ある症例と考えられた.
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