日本内科学会雑誌
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血清蛋白下分屑の病態生理学的研究
β-,γ-globulin領域の免疫化学的分析知見
伊藤 直彦
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1964 年 53 巻 5 号 p. 549-566

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抄録

血清蛋白下分屑の病態生理学的研究の一環として,β-およびγ-glob下分屑の免疫化学的分析ならびに測定を試みた. Gel拡散沈降法により, transferrin,β2A-,β2M-および7 Sγ-glolulin (glob)の特異抗血清を用いてそれぞれの定量法を考案し,また抗ヒト全血清家兎血清を用いて免疫電気泳動法による半定量観察を試みた.抗血清力価に応ずる被検血清の稀釈配分や電気泳動条件を規正し,数階級の定量基準を定め. gel拡散沈降定量法と対比して.その精度および限界を検討したが,信頼度はtransferrin,β2A-および7 Sγ-globで高く,β2M-globで劣る.また,本条件下のβ1-glycoprotein, hemopexinの測定は困難である.これをdysproteinemiaおよびparaproteinemia病態について応用観察し,β-およびγ-glob変動の支配的役割を演ずる因子を検討し,また“M-protein”のgel拡散沈降反応上における興味ある知見を得,これらの臨床応用への有意性を確認した.

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