日本内科学会雑誌
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肝線維化の診断と治療にかんする研究
肝コラゲナーゼ様ペプチダーゼ活性ならびにプロリンアナローグによる線維化抑制について
横野 靖
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1964 年 53 巻 7 号 p. 840-858

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抄録
肝疾患の生化学的検査法,酵素学的診断法も,肝疾患の一つの終末像ともいうべき肝硬変の診断ということではまだ充分なものはないようてある.また肝硬変症の予後はその基礎になる肝疾患の初期の治療に左右されることが大きいと考えられ,また治療にあたつて肝の線維化を反映する検査法があれば非常に好都合である.この点にかんしては,既に合成基質に活性を示すcollagenase様pepti-dase活性が肝組織にあつて,それがかなり肝線維化と相関を示すことが石井らによつて報告されている.著者は合成基質を作つて,臨床肝生検材料20例についてその活性を測定して,肝硬変症で高値を示すことを確認した.またproline analogueの寒天肉芽腫における線維形成に対する影響を観察して,線維形成抑制効果のあることをみた. 24時間尿中hydroxyproline排泄をも肝硬変症その他について測定し, Marfan症候群でその排泄は増量し,肝硬変症では少ないことを知った.
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