抄録
慢性腎性高血圧の高血圧維持機構に交感神経性体液性刺激による血管反応の増強が関与する程度をみるため,次の実験を行なつた。白鼠大動脈条片を用い,実験的腎性高血圧白鼠とその対照群について, noradrenalin1およびangiotensin大動脈平滑筋に及ぼす影響を比較した.慢性腎性高血圧に微量のangiotensinが昇圧機序に関与しているのではないかという可能性から,ごく微量のangio-tensinがnoradrellalinの平滑筋に対する収縮に影響を与えるか否かを検討した.この際, renin産生部位と考えられている労糸球体細胞類粒の増減を調べ,腎性体液性因子の動きを観察して次の結果を得た。実験的慢性高血圧白鼠の大動脈条片平滑筋のnoradrenalinに対する収縮反応は対照群に比し有意の増強を示し, angiotensin連日皮下注射群では,その大動脈条片のnoradrenalinに対する収縮反応は比較的高い値を示すものが多かつた。また腎旁糸球体細胞類粒指数は急性高血圧群の狭窄側の腎にて高く, angiotensin連日皮下注射群では一般に有意の増加を示した.以上の結果より実験的慢性腎性高血圧では,血管平滑筋の交感神経性体液性因子に対する収縮反応は増強している.従って,慢性高血圧においては, noradrenalinの関与とともにsub-pressor doseのangiotensinの持続的な増加がさらに関与する可能性が推定される結果を得た.