日本内科学会雑誌
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肺結核患者に対する抗結核薬および結核菌製剤皮下注射併用療法の研究
河内 時和
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1966 年 54 巻 11 号 p. 1253-1259

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抄録

結核化学療法の効果を増強する目的で,肺結核患者に結核菌製剤と抗結核薬の併用投与を行なつた.旧ツベルクリン(OT)併用66例, antigèneméthylique (AM)併用30例の空洞および結核腫の改善について,直径1cm未満の結核腫に濃縮,縮小または充塞したものおよび直径1cm未満の透亮影で壁の厚さが2mm以下に達したものを目的達成とすると, OT併用例で目的達成は,既往化学療法によるX線像不変期間3カ月未満の33個中19個(58%),不変期間3~6カ月の20個中7個(35%), 6カ月以上のものでは15個中2個(13%)であつた.つぎにOT併用例について4~6年後の遠隔成績を調査したところ, 3例に悪化を認め, AM併用例からの悪化はなかつた.切除肺の病理組織学的所見は,明らかに結核菌製剤併用によると考えられる特異所見を見出し得なかつたが,非硬化壁空洞,結核腫に血管新生,細胞浸潤を認める症例が多かつた.

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