日本内科学会雑誌
Online ISSN : 1883-2083
Print ISSN : 0021-5384
ISSN-L : 0021-5384
Pyridinolcarbamateによるcholesterol負荷家兎粥状硬化の予防
沼野 藤夫
著者情報
ジャーナル フリー

1966 年 54 巻 11 号 p. 1260-1275

詳細
抄録

抗キニン作用を有する新物質Pyridinolcarbamate (B23と略)は島本・久保田・藤田らによればアドレナリン,コレステロールの一発投与や,各種ストレスによつて生ずる浮腫性動脈反応を強力に予防または消退せしめる.この新物質Pyridinolcarbamate 5~10mg/kg/dayを経口投与しつつ1%コレステロール含有固形飼料にて長期間(12~15週)飼育せる家兎においては, 1500~2000mg/dlにも達する高コレステロ一ル血症下におかれているのにも拘らず,大動脈粥腫の形成をおさえ,動脈壁へのコレステロール沈着を妨げている知見が得られた.更にその組織学的検索は本物質投与により単に量的に粥腫の形成を抑えるのみならず,その脂肪変性,脂肪壊死形成を予防し,かつ病巣は主に血管平滑筋新生により治癒に近い像を示していることが明らかにされた.

著者関連情報
© (社)日本内科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top