日本内科学会雑誌
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54 巻, 11 号
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  • 西岡 新吾
    1966 年 54 巻 11 号 p. 1239-1252
    発行日: 1966/02/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    血液凝固因子の臨床的意義にかんしてはなお不明の点が多い.著者はthrombotest (TT)の臨床的意義を究めんとし,肝・胆道疾患,動脈硬化症およびその他の疾患についてTTと血清総コレステロール(chol)を同時に測定した.その結果TTは急性肝炎の重症度の診断ならびに治癒判定上価値がある.またTTは慢性肝炎から肝硬変症への移行,肝硬変症における重篤な出血の予測など予後判定上意義がある.肝実質性疾患ではTTとcholとの間に有意の相関を認める.肝癌,胆嚢症ではTTの臨床的意義は掴み得ない.動脈硬化症では過chol血症や出血直後ではTT値はかなり低く,その他の疾患では出血傾向を伴なう二,三の疾患に低値を示す.
  • 河内 時和
    1966 年 54 巻 11 号 p. 1253-1259
    発行日: 1966/02/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    結核化学療法の効果を増強する目的で,肺結核患者に結核菌製剤と抗結核薬の併用投与を行なつた.旧ツベルクリン(OT)併用66例, antigèneméthylique (AM)併用30例の空洞および結核腫の改善について,直径1cm未満の結核腫に濃縮,縮小または充塞したものおよび直径1cm未満の透亮影で壁の厚さが2mm以下に達したものを目的達成とすると, OT併用例で目的達成は,既往化学療法によるX線像不変期間3カ月未満の33個中19個(58%),不変期間3~6カ月の20個中7個(35%), 6カ月以上のものでは15個中2個(13%)であつた.つぎにOT併用例について4~6年後の遠隔成績を調査したところ, 3例に悪化を認め, AM併用例からの悪化はなかつた.切除肺の病理組織学的所見は,明らかに結核菌製剤併用によると考えられる特異所見を見出し得なかつたが,非硬化壁空洞,結核腫に血管新生,細胞浸潤を認める症例が多かつた.
  • 沼野 藤夫
    1966 年 54 巻 11 号 p. 1260-1275
    発行日: 1966/02/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    抗キニン作用を有する新物質Pyridinolcarbamate (B23と略)は島本・久保田・藤田らによればアドレナリン,コレステロールの一発投与や,各種ストレスによつて生ずる浮腫性動脈反応を強力に予防または消退せしめる.この新物質Pyridinolcarbamate 5~10mg/kg/dayを経口投与しつつ1%コレステロール含有固形飼料にて長期間(12~15週)飼育せる家兎においては, 1500~2000mg/dlにも達する高コレステロ一ル血症下におかれているのにも拘らず,大動脈粥腫の形成をおさえ,動脈壁へのコレステロール沈着を妨げている知見が得られた.更にその組織学的検索は本物質投与により単に量的に粥腫の形成を抑えるのみならず,その脂肪変性,脂肪壊死形成を予防し,かつ病巣は主に血管平滑筋新生により治癒に近い像を示していることが明らかにされた.
  • 山田 裕篤
    1966 年 54 巻 11 号 p. 1276-1286
    発行日: 1966/02/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    近年,肺機能として,肺胞換気,呼吸機能などの他に,脂質代謝にかんする問題が注目されるようになつた.著者は肺の脂質代謝を解明する一助として,慢性肺疾患々者および心疾患々者に右心カテーテルを施行し,遊離脂酸(NEFA)の動・混合静脈血濃度較差をみ,さらに,これをガスクロマトグラフィーで脂酸構成を分析し,動・混合静脈血の脂酸構成を比較観察した.さらにまた,これら較差に及ぼす食餌性脂肪の影響を観察するために,リノール酸エチルおよびバターを投与した.肺はNEFAを放出していることを認め,ことに, NEFA中にオレイン酸,パルミトオレイン酸,およびリノール酸等不飽和脂酸が飽和脂酸より多く放出される可能性,あるいは,飽和脂酸が不飽和脂酸より多く肺で摂取されるという可能性が者えられた.リノール酸エチル投与によつて,肺はNEFAとして,リノール酸をより多く放出することが考えられ,バター投与では,有意の変化はなかつたが,食餌性脂肪はNEFAの動・混合静脈血較差に影響を及ぼしうることを認めた.
  • 中川 定明, 小堀 廸夫, 佐藤 公康
    1966 年 54 巻 11 号 p. 1297-1302
    発行日: 1966/02/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    Amyloidosisは近年本邦で著しく増加し,その頻度は一部の西欧諸国に接近ないし追い抜く位になつた.最近の本邦例57例の検索結果を報告し,併せて自験例1例を追加した.続発性amyloidosisの基礎疾患として近年惡性腫瘍,リウマチ,慢性気管支疾患が増加しつゝある. amyloidosisの臨床症状は甚だ多岐に亘るが,本邦例では胃腸障害が最も多く,心障害,肝腫大,腎障害などの頻度が高かつた. amyloidosisの臨床診断には,生検法で得た材料をコンゴー赤で染めて偏光顕微鏡的観察を行なうのが最もすぐれた方法である. para-amyloidosisという用語には概念の混乱があるが, para-amyloid物質を顕著に持つた症例と解したい.そういう物質の構造について一仮説を呈示した.症例は46才,女.呼吸困難と浮腫を主訴とし,大舌症があつたが,うっ血性心不全の臨床診断のもとに死亡した.剖検によりpara-amyloid物質ばかりから成りたつた原発性amyloidosisと判明した.
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