日本内科学会雑誌
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ストレプトマイシンによる神経・筋伝導障害にかんする筋電図学的研究
小山 道一
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1966 年 55 巻 5 号 p. 405-421

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抄録

ストレプトマイシン (SM) による脱力症状の本態および対策は不明であり, これを解明するために誘発筋電図法を用いて検討した. 神経・筋伝導の指標として筋活動電位 (M波) の振幅を測定し, 家兎にSMを静注した際に起こる麻痺の作用点は, 主として神経・筋接合部および部分的には筋自身であり, この神経・筋伝導障害 (N-M block) の機序はcompetitive blockに一致するが, 運動終末におけるアセチールコリンの減少と筋線維の興奮性低下も関与することを確認した. 正常人および肺結核患者にSM1gを筋注後, 一過性に全身ことに四肢の倦怠, 脱力感または視力障害を訴える例では, SMにより軽度のN-M blockが起こり, ネオスチグミン (Neost.), パントテン酸カルシウム (PaA・Ca) が部分的に拮抗することを確認した. 重症筋無力症患者の症状はSMにより増悪し, これは本症の本態と考えられているcompetitive blockとSMとの協調作用の結果であり, これにNeost.とPaA・Caは同程度に拮抗した.

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