日本内科学会雑誌
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側頭動脈炎(Horton's giant cell arteritis)の1例
亀山 正邦寺沢 富士夫倉持 衛夫村勢 敏郎
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1966 年 55 巻 7 号 p. 804-808

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抄録
1)68才,女.入院2カ月前より頭痛,発熱,全身倦怠,食欲不振等を訴えた.両側の側頭部に怒張せる浅側頭動脈を触れ圧痛あり,この動脈の生検診断は巨細胞性動脈炎であつた.中等度の貧血,赤沈の高度促進,血清蛋白分画におけるα2およびγ-globulinの増加あり, C-反応性蛋白(卅),各種のリウマチ反応陰性, LE細胞(一),生検動脈の蛍光抗体法による検索でγ-globulinに特異な蛍光を証明せず.大動脈造影法で,大動脈弓部動脈群に狭窄ないし閉塞をみず,本例は,わが国で報告された定型的側頭動脈炎の第1例であるとみなされる. 2)側頭動脈炎,脈なし病あるいは高安病等は,広義の結合織疾患に含まれる.しかし臨床的には,これらを区別して扱う方が,現在の段階では便利と考えられる. 3)本症は種々なる点で他疾患と誤られ易い.確診には動脈生検が必要である.本症への関心が高まるにつれ,報告例の増加することが期待される.
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