周知のごとく,膠原病諸疾患では系統的な全身の諸症状を次々に示すのであるが,その症状はこれら諸疾患に見出される血管病変の状態と密接な関連を有するものであることを,われわれは度々報告して来た.ところで,それぞれの疾患に見出される血管病変は決して単一ではなく,様々な種類の病変を示すものであり,従つて臨床症状との関連において血管病変を考えるに際しては,それぞれの疾患でみられる血管病変の種々相,ひろがりの特徴を充分明らかにしておくことが必要である.
しかしながらこのようないわゆる臨床病理学的な研究はほとんど報告されていない.そこで今回,われわれは多数の剖検材料の病理組織学的所見と臨床との対比検討を行ない,臨床家の観点から整理しえた諸成績について報告した.