日本内科学会雑誌
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比較実験による閉塞性動脈硬化症のpyridinolcarbamate治療効果の解析
山下 碩也
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1969 年 58 巻 4 号 p. 283-292

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抄録

閉塞性動脈硬化症の患春43名にまず3週間の偽薬期間washout periodの後にpyridinolcarbamateおよびplaceboを各10週間double blind crossover法により投与し,その成績を比較した.全43例中23週にわたる比較実験が完全に終了した症例は24例であつた.間歇性跛行の改善(跛行時間1分以上の延長)はpyridinolcarbamate投与期間後では21例中13例(61.9%)にみられたのに対し, placebo投与期間後では23例中6例(26.1%)にみられその差は有意であつた(P<0.05).また,間歇性跛行の改善度を回帰係数を用いて分析した結果及び罹患肢の疼痛及びその他知覚異常,チアノーゼ,潰瘍等の臨床諸症状においてもpyridinolcarbamateがplaceboよりもその臨床効果がすぐれていることがわかつた.脱落19例においても個々の症例について詳細に検討した結果pyridinolcarbamateが, placeboよりもすぐれていることがわかつた.副作用については両期間に本質的な差は認められなかつた.

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