日本内科学会雑誌
Online ISSN : 1883-2083
Print ISSN : 0021-5384
ISSN-L : 0021-5384
乳糖分解酵素が有効であつた牛乳不耐症の1例
久貝 信夫粒良 邦彦四元 秀毅折茂 肇藤田 拓男吉川 政己
著者情報
ジャーナル フリー

1971 年 60 巻 9 号 p. 845-850

詳細
抄録
牛乳飲用により下痢や腹痛を起こす牛乳不耐症は,日本人には比較的多く,牛乳摂取が増加するにつれて,その原因および対策がますます問題となつてきている.最近われわれは牛乳不耐症のため牛乳飲用を中止したところ,低カルシウム血症と思われる症状を呈した1例を経験し,この症例に対して乳糖分解酵素(lactase)を使用し,有効であつたので報告する.症例は45才の女性. 35才より牛乳飲用による下痢が出現, 40才より牛乳飲用を中止したところ,振せん,筋攣縮などの症状が出現した.牛乳不耐症にかんして諸検査を行ない, lactase deficiencyが疑われた.また,振せん,筋攣縮などの低カルシウム血症に起因する症状は,潜在性副甲状腺機能低下症および牛乳飲用中止によるカルシウム摂取低下によるものと考えられた.本症例にlactaseを使用し,牛乳不耐症は改善し,低カルシウム血症による症状も消失した.
著者関連情報
© (社)日本内科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top