日本内科学会雑誌
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特発性副甲状腺機能低下症の1例
日野 昌徳原 桃介増田 武弘稲葉 午朗日野 和徳
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1972 年 61 巻 1 号 p. 49-55

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抄録

症例は39才,女.乳児期よりしばしば四肢テタニーと全身痙攣発作をくりかえしていた.また躁鬱症,異常行動などの精神症状も伴つていた.てんかんと診断されていたが,血清カルシウムの著減,無機燐の著増があり,爪の変形,多数の歯牙欠落・う蝕,腋毛の欠如などの異常が認められ,また頭蓋X線写真上,両側基底核部に対称に明瞭な石灰沈着を認めるなどの所見から,稀な疾患である特発性副甲状腺機能低下症と考えられるに至つた.本症は外胚葉系器官に諸種の異常をみるとされているが,それらを同時にそなえるものは報告が少ない.本症例は四肢テタニーに加え精神神経症状,形態の異常などを伴うきわめて珍しい1例である.

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