日本内科学会雑誌
Online ISSN : 1883-2083
Print ISSN : 0021-5384
ISSN-L : 0021-5384
インスリノーマの臨床病理的研究
高橋 日和
著者情報
ジャーナル フリー

1972 年 61 巻 4 号 p. 341-354

詳細
抄録

約5年間に14例の自発性低血糖症を経験した.そのうちインスリノーマ5例,ラ島過形成2例を中心に術前後の糖代謝検査成績を追求した.インスノーマの診断に各種糖代謝検査が利用されているが,各症例でその反応の仕方は一定していない.インスリン分泌過剰がみられない場合や血糖低下が著しくない場合は総合的判定が必要である.著者は,インスリノーマではGTT時の耐糖能低下, ΔIRI/ΔBSの低下と, L-leucine test時の血糖動揺が有力な診断根拠となりうることを知つた.またラ島過形成例ではL-leucineに対する過敏性は同一個体でも一定しなかつた,肝グリコーゲン量の低下の予想される肝疾患時にも低血糖はもたらされるが,その鑑別にGlucagon test時の血糖, IRI同時測定が有用である. Tolbutamide testについては,血糖下降度と術後効果判定の面から否定的な結果がえ糖低下の危険性を考えると必須の検査とはいい難い.またインスリノーマの部位判定には腹腔動脈おられ,特に血よび上腸間膜動脈造影が必要であるが,手術時腫瘍の発晃は裏面よりの触診によることが多いことも注目する必要がある.

著者関連情報
© (社)日本内科学会
次の記事
feedback
Top