日本内科学会雑誌
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急性心筋硬塞の血行動態にかんする臨床的検討
鈴木 嘉茂
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1973 年 62 巻 7 号 p. 756-764

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抄録

急性心筋硬塞35例の急性期血行動態を観察し,臨床的検討を加えた.硬塞発作後24時間以内に収容された28例の平均心拍出量は,正常群に比べ低値を示したが,とくにショック合併および死亡例に著明であつた.死亡例では悪性高血圧例を除くと心係数(CI), 1回拍出係数(SI)が持続的低値を示した.入院時中心静脈圧(CVP) 8cmH20以上を示した21例中14例は, 48時間以上CVP上昇が持続したが,これら上昇持続例では回復例に比べ,ショック合併および死亡が高率であった.不整脈合併例にCVP上昇を示すものが多かつた. CIが低くCVPの低い1群の循環血液量は他の硬塞群および正常群に比べ,低値を示す傾向を認め低容量性の可能性が考えられた.この1群を除くとCIとCVPは負の相関を示した. Peelの指数と全末梢抵抗(TPR)は正の相関, Peelの指数とSIは負の相関を示した.入院時CI 2.21/min/m2以上の1群は予後良好で,反対にCI 2.2l/min/m2未満,とくにCVP上昇・TPR増高の1群は重症例が多く,予後不良のものが多かつた.

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