日本内科学会雑誌
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小腸(粘膜)二糖類分解酵素活性
消化器疾患ならびに食餌因子との関連について
後藤 昭平
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1973 年 62 巻 7 号 p. 747-755

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抄録

小腸disaccharidase活性の変動を,臨床上もつとも重要な乳糖分解酵素lactaseを中心に,消化器疾患との関連において検討し,また,牛乳,アルコールによる食餌因子の本酵素活性に及ぼす影響を検討するために,1)乳糖負荷試験(LTT),2)生検による小腸粘膜の光顕的観察, disaccharidase活性測定,3)アルコール投与白鼡の動物実験,等を行なつた.その結果, LTTの血糖上昇度は胃切除,過敏性大腸,潰瘍性大腸炎で低く, lactase活性は胃切除等消化器疾患で低かった.しかしmaltase活性, sucrase活性では健康者との間に差がなかつた. lactase活性とLTTの血糖上昇度には有意の相関があつた.牛乳摂取による下痢者は非下痢者に比べてlactase活性が有意に低く,また牛乳摂取者は非摂取者に比べて本酵素活性が有意に高かつた.アルコール摂取者,非摂取者のlactase活性には差がなく,動物実験でもアルコール投与によりdisaccharidase活性は抑制されなかつた.

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