日本内科学会雑誌
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播種性血管内凝固症候群にみられた精神神経症状について
荒川 昌昭北島 和彦調 輝男寺尾 章荒木 淑郎柴田 進
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1973 年 62 巻 8 号 p. 936-942

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抄録

われわれは最近8例のdisseminated intravascular coagulation (DIC)症候群患者を経験した.その臨床症状は身体各部位への出血を始めとして多彩であつた.その中で精神神経症状としては,嗜眠,半昏睡,譫妄状態等意識状態に関連した症状が全例にみられた他,大脳半球症状を呈したものが4例,痙攣発作を示したものが2例であつた.これらの症状はいずれも一過性でheparinを主体とした治療により,臨床検査成績の改善とともに軽快の傾向を示した.しかしこの8例中,1例が治癒,7例が死亡した.5例について病理解剖を施行したが,とくに脳の病理所見では出血,軟化,小動脈の血栓形成等が認められた.血栓形成はDICの経過が長かつた症例ほどその程度は強度であった.なお今回の症例はいずれもthrombotic thrombocytopenic purpura (TTP)の3主徴または5主徴を兼備していたため,われわれはDICとTTPの異同について若干の考察を加えた。

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