1975 年 64 巻 7 号 p. 655-660
血小板凝集能の測定方法には数多くの報告があるが,われわれは全血を用いて血小板ADP凝集能を測定するscreen filtration pressure (SFP)法(Swank, 1961年)を用い,健康老年者50例,高血圧症93例,回復期脳出血74例,脳血栓166例の血小板ADP凝集能(SFP)を検討した.健康老年者,高血圧症,回復期脳出血,脳血栓症のSFPはそれぞれ148.7±53.5mmHg (Mean±SD), 176.2±74.4mmHg, 189.8±58.3mmHg, 206.3±58.9mmHgであつた.これら各疾患群は,健康老年者に比べて有意(p<0.01~0.05)に高い血小板ADP凝集能(SFP)を示した.このほか急性期脳出血18例,脳血栓9例についても発症より経時的に血小板ADP凝集能を測定し,その特徴を検討した.急性期脳出血ならびに脳血栓症のSFPはそれぞれ142.4±52.5mmHg, 241.3±65.4mmHg (第10病日以内), 186.2±60.5mmHg, 282.1±69.9mmHg (第11~30病日), 217.7±68.5mmHg, 235.5±47.7mmHg(第31~第180病日)であつた.脳出血では脳血栓に比べ1%以下の危険率で有意に低い血小板ADP凝集能(SFP)を示した.また急性期脳出血症にて生存9例,死亡9例との間に1%以下の危険率で生存例の方が有意に低い血小板ADP凝集能(SFP)を示した.