日本内科学会雑誌
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ネフローゼ症候群を呈し,腎尿細管acidosisを疑わせた全身性硬化症の1剖検例
小林 芳夫村岡 松生東條 毅安倍 達本間 光夫河合 俊明細田 泰弘
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1977 年 66 巻 2 号 p. 186-192

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抄録

PSSの腎病変で,ネフローゼ症候群を呈した症例は少ない.また強皮症状を欠くPSS sine sclerodermaの報告例もまれである.多発性関節炎およびレイノー現象で発症し,強皮症状を示さず, 9年の経過後に,イレウス手術時の生検でPSS sine sclerodermaと診断され,その後ネフローゼ症候群を呈し,尿細管acidosisを疑つた1剖検例を報告した.症例はPSSとして治療中であつた32才の女性で, 3カ月前から高度の蛋白尿となり,ネフローゼ症候群を呈して入院したが,高窒素血症は明らかでなかつた.腎性糖尿,低カリウム血症,高クロール血症,代謝性acidosisが認められ,約2カ月後に細菌性肺炎を併発し死亡した.剖検では,全身諸臓器の線維化と筋層の萎縮が明らかで, PSSが確認され,また膜性増殖性糸球体腎炎が認められた.本例の腎病変とPSSとの関連につき考察を加えた.

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