日本内科学会雑誌
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Lindau病の一家系
与芝 真板橋 明松本 俊夫山口 徹鈴木 秀郎織田 敏次
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1978 年 67 巻 2 号 p. 187-192

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抄録

中枢神経系に多発するhemangioblastomaを主病変とする疾患は, 1926年Lindauにより一つの疾患単位としてまとめられている.この疾患は濃厚な遺伝性が認められているが,本邦ではその家系は現在迄6家系報告されているに過ぎない.われわれが経験したLindau病は父と長男の2症例であり,家系調査より優性遣伝と考えられる.長男例は家族歴,右眼底血管腫,脊髄hemangioblastomaと考えられる血管像,右腎の腫瘍,父親例は両側眼底血管腫,組織学的に確認された小脳hemangioblastomaを診断根拠としてLindau病と診断した. Lindau病の歴史,疾患概念からは遺伝性,中枢神経のhemangioblastoma,内臓病変が本疾患の基本となるが,臨床診断基準は中枢神経のhemangioblastomaの存在または遺伝性を重視する考え方に分かれるがいずれも広義に解釈されており,われわれの診断根拠は確実なものと考えられた.また,長男例は脊髄hemangioblastomaと考えられる血管像の認められた症例であるが,臨床所見で第IX胸髄以下の知覚障害,錐体路症状のほか小脳症状が見られており,椎骨動脈撮影では後頭蓋窩に異常所見は認められなかつたが,今後の経過で再検討の必要があると考えられる

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