日本内科学会雑誌
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Celltrifugeによる血漿交換およびヘパリン大量投与により治癒した激症肝炎の1例
西田 雅喜蓑田 正豪橋村 俊一長谷川 廣文椿 和央橋本 清保御木 達也今田 聰雄岩永 隆行入交 清博堀内 篤井上 良一山本 俊夫
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1978 年 67 巻 7 号 p. 723-728

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抄録

昏睡となつた激症肝炎患者に,本邦では初めて持続血球分離装置(celltrifuge)による血漿交換を行ない,同時にヘパリン大量投与を併用して救命することができた1例を経験した.症例. 29才,男性,医師.入院約1カ月前に数日間テール便がみられ,某医で800mlの新鮮血輸血を受けた.入院約1週間前より全身倦怠感を訴え,昭和51年6月17日当科に入院した.入院時球結膜に軽度黄疸を認め,肝2横指触知, GOT 11524, GPT 7836,総ビリルビン値は8.3mgに上昇し,入院4日目に肝性昏睡に陥つた.直ちにcelltrifugeによる血漿交換を施行し,同時にヘパリン2000~2500U/時を持続点滴し,さらに無菌装置を設置して管理した. 43回目の血漿交換終了後より意識は回復し始め,その後は順調に経過し,入院63日で退院した.血漿交換量は4回で合計約18l,ヘパリン総投与量は197800Uであつた.退院前に施行した腹腔鏡および肝生検では肉眼的,組織学的に変化は軽度であつた.

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