日本内科学会雑誌
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Systemic lupus erythematosusにおける血液透析
6例の検討
尾崎 承一熊谷 俊一小谷 宏行恒松 徳五郎井村 裕夫田村 忠雄原 晃小西 憲子沢西 謙次
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1978 年 67 巻 7 号 p. 729-738

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抄録

Lupus腎炎由来の腎不全患者の血液透析に関しては,その開始基準や透析中の治療,および離脱の方法は一定していない.今回我々は6例の透析施行SLE患者を経験し死亡2例,透析継続中2例,透析離脱2例との成績を得て検討を加えた.全例ともARAのSLE診断予備基準を満たし活動性で,腎不全症状を呈し,腎生検ではびまん性増殖性糸球体腎炎の像を呈していた.透析開始時のs-creatinineは死亡群では7.6~9.8mg/dl,離脱群では1.5~1.7mg/dlであつた. 6例の透析導入理由は要約すると, (1)腎生検所見より早急に大量のsteroid投与が要求され,その効果発現までの期間,急速進行性の腎不全症状を透析で緩和するため, (2)副作用のためsteroidの大量投与が不可能な場合に,透析併用により腎不全症状を緩和しながら可及的大量のsteroid使用を計るため, (3)高血圧脳症や心不全などを併発して早急に透析が要求されたため,などである. creatinine clearanceは離脱群でのみ透析開始後改善が認められた.透析施行中のsteroid使用量は離脱群ではprednisolone 40~60mg/日以上であつたが,死亡群では少量であつた.以上の如く, SLEの腎不全ではs-creatinineが比較的低値でも,臨床症状や腎生検所見などから透析の適応となる場合があり,かかる例では透析を補助手段として用いながらsteroidの大量投与を行ない, SLEの病勢の寛解および腎機能の回復をまち積極的に離脱を試みることが必要であると思われる.

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