日本内科学会雑誌
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体位変換による心電図の変化
伴野 祥一関 顕今鷹 耕二藤井 潤村田 和彦
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1980 年 69 巻 1 号 p. 12-18

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抄録

心筋硬塞を除いた30~84才の100例(男64例,女36例)につき,仰臥位,右側臥位,左側臥位,坐位における呼気時の標準12誘導心電図の記録を行ない,仰臥位との比較検討を行なつた. 20例につき胸部誘導のR波の高さを測定し,仰臥位の高さを100%とすると,左側臥位におけるRv6の変化が最大であり,平均204%となつた.そこでRv6の体位による変化を, 100例について同様の方法にて検討したところ,右側臥位で100.6±20.0% (標準偏差),左側臥位で180.1±56.3%,坐位で94.8±19.4%の変化を示し,左側臥位では150%以上となつたものが74例あり,最も大きな変化を示した. Tv6についても同様にして検討すると,右側臥位で94.3±40.1%,左側臥位で160.2±61.3%,坐位で93.6±33.5%の変化を示した.左側臥位でのRv6の変化とTv6の変化との間には有意の相関がみられたが,相関係数は+0.31と小さかつた.心電図記録と同条件下で撮影した胸部X線写真で体位による心臓の偏位の程度,並びに左横隔膜の高さの変化の程度とRv6の変化の程度とを比較したが,有意の相関はみられなかつた.体位変換によりT波の逆転したもの8例, STの著明に変化したもの2例があつた.移行帯は体位交換では変化しないものが多かつた.平均電気軸は,右側臥位,左側臥位では右方に,坐位では左方に動くものが多かつた.

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