日本内科学会雑誌
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本態性高血圧における各種レニン遊出刺激法の比較検討
宮本 泰昌上野 雄二玉置 俊明大谷 英世口井 正人西尾 一郎増山 善明
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1980 年 69 巻 9 号 p. 1090-1095

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抄録

20例の本態性高血圧患者を対象として5種類のレニン遊出刺激を同一人について行ない,負荷法による血漿レニン活性(PRA),血漿アルドステロン濃度(PAC)の反応の相異について比較した.負荷法として,無塩食3日,さらに立位2時間, furosemide 0.4mg/kg静注10分後, furosemide 40mg静注後立位30分, treadmillによる運動の5種類を行なつた.いずれの負荷でもPRAは有意に増加したが,刺激の強さは無塩食3日後立位2時間が最も強く,次いで無塩食3日, furosemide 40mg静注後立位30分, furosemide 0.4mg/kg静注, treadmillによる運動の順であつた. PACに関しても刺激の強さの順位は同様であるが, furosemide 0.4mg/kg静注, treadmillによる運動の弱い短時間負荷では有意な増加はみられなかつた. furosemide 40mg静注後立位30分でのPRAの増加量は無塩食3日間後立位2時間,およびfurosemide 0.4mg/kg静注でのPRAの増加量と有意な相関を示した. furosemide 40mg静注後立位30分は無塩食3日に比し平均0.61倍,無塩食3日後立位2時間に比し平均0.26倍の強さで,比較的弱い刺激と考えられた. furosemide 40mg静注後立位30分でPRAの反応のみられない例でも,より強い負荷で反応する例がみられ,この負荷法は低レニン性高面圧を選択する際には不十分な刺激であり,反応のない例ではより強い刺激が必要である. furosemideを用いた刺激は腎機能が低下している場合,反応は有意に少なく,判定に際し注意が必要である.

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