日本内科学会雑誌
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各種非観血的方法による右室負荷の評価
継 健
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1981 年 70 巻 1 号 p. 22-33

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抄録

右室負荷の種類および程度を把握することは,診断・治療上重要であるにもかかわらず,心カテーテル法に代わるべき信頼性の高い非観血的臨床検査法についての検討が,いまだ十分にはなされていない.胸部X線写真,心電図,心音図,心エコー図,タリウム201心筋シンチグラム(TI 201)の5手段が,どの程度右室負荷の診断に役立つか,それら個々の感受性(sensitivity),特異性(specificity)およびそれぞれの手段により得られる知見の相互関係を心カテーテル成績に基づいて検討した.対象は先天性疾患,後天性弁膜疾患,肺疾患および正常例の連続129例であつた.右室単独圧負荷の診断には,胸部X線写真の肺動脈主幹部突出度とTl 201が, sensitivity, specificity共に優れていた.容量負荷の診断には,心電図を除くそれぞれの評価方法で, sensitivityが高かつた. Tl 201の描出像から各種心疾患の形態学的特徴を把握することができ,さらに右室圧・容量負荷を半定量的に段階付けることが可能であつた.しかし左室負荷の存在により, Tl 201の右室圧負荷診断のsensitivityは,著しく低下した.個々の手段には長所・短所があり,右室圧負荷の非観血的診断は,ここでとりあげた各種手段を組合わせることにより,より的確な診断が得られることが期待された.

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